ビジネスメールでよく見かける「承る(うけたまわる)」と「賜る(たまわる)」という言葉。
なんとなく丁寧そうだけど、「どっちを使えば正しいの?」と迷ったことはありませんか?
「ご注文を承りました」「ご厚意を賜り…」など、実はこの2つは意味も使い方もまったく違う敬語です。
この記事では、それぞれの違いや使う場面をわかりやすく解説しながら、実際のビジネスメールでそのまま使える文例もたっぷり紹介します。
丁寧な言葉を正しく使って、信頼されるメールを書きましょう!
「承る」と「賜る」、どっちが正しいの?
ビジネスメールやフォーマルな場面でよく使われる言葉に、
「ご依頼、承りました」
「ご厚意を賜りましてありがとうございます」
といった表現があります。
どちらも丁寧で「なんとなく似ている」と思いがちですが、実は使い方や意味が大きく違うんです!
この記事では、「承る」と「賜る」の違いや使い分け方、よくある間違いをやさしく解説します。
「承る」とは?【謙譲語】
「承る(うけたまわる)」は、自分の動作をへりくだって言う「謙譲語」です。
主な意味
お話・ご依頼・ご意見などを聞く・受ける
目上の人から何かを受け入れる
【例文】
ご注文、承りました。
ご意見を承り、対応いたします。
ご予約を承っております。
※ポイント:「自分が目上の人から何かを引き受ける・聞く」ときに使います。
「賜る」とは?【謙譲語+尊敬語的表現】
「賜る(たまわる)」は、相手から何かをもらうことをへりくだって言う表現です。
意味としては「いただく」とほぼ同じですが、特にあらたまった場面で使われる丁寧な言い方です。
主な意味
目上の人から何か(物・言葉・機会など)をいただく
【例文】
ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
ご厚情を賜りまして、心より感謝申し上げます。
ご指導を賜りますよう、お願い申し上げます。
※ポイント:「もらう(いただく)」を丁寧に言いたいときに使うのが「賜る」です。
比較表:「承る」と「賜る」の違い
言葉 | 敬語の種類 | 意味 | よく使う場面 |
---|---|---|---|
承る(うけたまわる) | 謙譲語 | お話や依頼などを受ける・聞く | 注文・予約・意見・依頼などを受けるとき |
賜る(たまわる) | 謙譲語(尊敬の意味も含む) | 目上の人から物や言葉をいただく | 感謝・祝辞・表彰・贈り物など |
「承る」「賜る」はどう使う?ビジネスメールでの敬語の使い方と例文集
「承る」を使う文例集(依頼・注文・連絡の受領)
● ご注文の確認メール
件名:ご注文内容確認のご連絡
○○様
平素より大変お世話になっております。
ご注文いただきました商品につきまして、確かに承りましたのでご連絡申し上げます。
発送予定は○月○日となっております。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
● 意見・連絡の受領時
件名:ご意見の御礼
○○様
このたびは貴重なご意見をお寄せいただき、誠にありがとうございます。
頂戴いたしましたご意見は、真摯に承り、今後の参考とさせていただきます。
● 会議出席の受付
件名:会議出席のご連絡について
○○様
ご出席のご連絡、確かに承りました。
当日はどうぞお気をつけてお越しくださいませ。
✅ 「賜る」を使う文例集(感謝・支援・お願い)
● 感謝のご挨拶に
件名:御礼申し上げます
○○様
このたびは格別のご高配を賜りまして、誠にありがとうございました。
今後とも変わらぬご厚情を賜りますよう、お願い申し上げます。
● 招待や機会に感謝するとき
件名:セミナーご招待の御礼
○○様
昨日は貴重な機会を賜り、心より御礼申し上げます。
有意義な学びと出会いを得ることができました。
● あいさつ文でのお願い表現に
件名:今後のご指導のお願い
○○様
今後とも変わらぬご指導とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
よくある混同に注意!
「承る」は受ける行動に使い、「賜る」はいただく“気持ち・物”などへの感謝やお願いに使いましょう。
【間違いやすい例】
誤った使い方 | なぜ間違い? | 正しい表現 |
---|---|---|
ご注文を賜りました | 「賜る」は“いただく”という意味なので、注文などの依頼には不向き | ご注文を承りました |
ご指導を承りますよう | 「承る」は“受ける”という意味。依頼文には不自然 | ご指導を賜りますよう |
お祝いの言葉を承り、感謝します | 「承る」は“聞く・受ける”だが、贈られた言葉には「賜る」が適切 | お祝いの言葉を賜り、感謝します |
賞を承りました | 「承る」は動作的な受け取りに使う。賞などは“授かる・いただく”が正しい | 賞を賜りました |
まとめ
「承る」と「賜る」はどちらも丁寧な言葉ですが、使う場面がはっきり分かれています。
「承る」= 注文や依頼、出席などを“受ける”とき
「賜る」= ご厚意や支援、機会などを“いただく”とき
よく似た響きですが、意味の違いを理解すれば、ビジネスメールでも安心して使えます。
文例を参考にしながら、相手への敬意が伝わるメール表現を身につけましょう!
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