「三つの七」と呼ばれる漢字「㐂」。
老舗の店名やお祝いの席で見かけることはあっても、いざ自分で入力しようとすると「変換で出てこない!」と悩む人が多い文字です。
実は『㐂』はUnicodeに登録された正式な漢字でありながら、IMEやフォントの問題で入力・表示が難しい特殊文字なのです。
この記事では、PC・スマホでの具体的な入力方法から、表示できない原因まで、わかりやすく整理して解説します。
※1つの参考にしてください
PCで『㐂』を入力する方法(Windows・Mac)
読み方からの変換で入力する方法
結論から言うと、WindowsでもMacでも『㐂』を読み仮名で変換することはほぼ不可能です。
「よろこぶ」「き」「きぎ」「きい」など試しても、一般的なIME辞書に登録されていないため候補に出ません。
ただし、ATOKなど一部のIMEでは辞書を追加登録することで表示可能になる場合があります。
これを解決する最も手軽な方法は、自分で辞書登録することです。
読みを「き」や「みつのなな」など好きに設定し、単語として登録すればいつでも呼び出せます。
頻繁に使う場合はこの方法が最も効率的です。
文字コードを直接入力する方法(Unicode入力)
Windowsでは「U+3402」というUnicodeを使用して直接入力できます。手順は、
1. メモ帳などで「3402」と入力
2. キーボードの Alt を押しながらX を押す
これだけで『㐂』に変換されます。
Macの場合は「文字ビューア」でUnicode検索が可能で、「3402」と入れると該当文字が表示されます。
この方法は覚えておくと非常に便利で、辞書登録の前段としても役立ちます。
ただし、フォントが対応していないと表示されませんので注意が必要です。
Windowsの「文字一覧」で入力する方法
Windowsに標準搭載されている「文字一覧(charmap.exe)」を使えば、フォントごとに収録されている文字を検索できます。
起動し、フォントを選び、Unicodeの項目を指定すると一覧から『㐂』を探せます。
フォントによっては表示されないため、複数のフォントを切り替えて確認すると良いです。
見つかったら「コピー」して文書に貼り付けるだけで入力完了です。初心者にもわかりやすい方法です。
Macの「文字ビューア」で入力する方法
Macでは「⌘ + Ctrl + Space」で文字ビューアを開けます。
検索欄に「U+3402」または「喜」で検索すると、関連文字として『㐂』が表示される場合があります。
表示された文字をダブルクリックすると入力されます。
Macはフォントが比較的豊富なため、Windowsより表示される可能性が高いのが特徴です。
もし見つからなくても、Unicode一覧から絵文字などと同じ感覚で探せるので便利です。
スマホで『㐂』を入力する方法(iPhone・Android)
iPhone:読み方変換で出す方法
iPhoneでは標準IMEでも『㐂』の変換候補は出てきません。
「よろこぶ」「き」などの読みではもちろん表示されず、辞書にも登録されていません。
ただし、辞書登録を使えば読み仮名から呼び出すことが可能です。
設定アプリの「一般」→「キーボード」→「ユーザ辞書」から『㐂』を登録できます。
読みは「き」「みつのなな」など好きなものに設定可能です。
一度登録すればいつでも呼び出せるため、よく使う場合には便利です。
Android:Gboardで入力する方法
Android端末ではIMEがメーカーごとに異なることが多く、標準状態では変換候補に出ません。
GoogleのGboardを使う場合も同様で、読みから入力することは困難です。
ただし、Gboardでもユーザー辞書が使えるため、iPhoneと同様に辞書登録すれば簡単に呼び出せます。
Androidは機種によってフォントが異なるため、入力できても表示が文字化けするケースがあります。
この場合はフォントアプリを利用するか、表示確認ができるアプリで開く必要があります。
コピー&ペーストで使う裏技
最も手軽で確実な方法が「コピーして貼り付ける」方法です。
ネット上の文字一覧や、この記事の『㐂』をコピーしてメモ帳やLINE、メールなどに貼り付ければそのまま使用できます。
辞書登録しなくてもすぐに使えるため、たまに使うだけであれば最も簡単な手段です。
ただし、アプリによっては表示できない場合があります。
特にSNSやゲームなどではフォントが制限されており、文字化けが起きることがあります。その場合は別アプリで確認しましょう。
辞書登録を使って呼び出す方法
スマホで継続的に使うなら辞書登録が最も便利です。
iPhoneでもAndroidでも、「ユーザー辞書」に『㐂』を登録しておけば、読み仮名を入力するだけで呼び出せます。
読みは自由ですが、「き」「みつのなな」「さんしち」などが覚えやすいです。
辞書登録しておくことで、コピー元を探す手間がなくなり、入力ミスも防げます。
特殊文字を使う頻度が高い人は必須の設定と言えます。
『㐂』とはどんな文字?
なぜ「三つの七」と呼ばれるのか
『㐂』という文字は、見た目の通り「七」という字が三つ積み重なっている形をしているため、日本では昔から「三つの七」や「三七」と呼ばれてきました。
実際には「七」を三回書いたわけではなく、古い字形が簡略化される過程でこうした特徴的な形になったといわれています。
この独特な形が視覚的にわかりやすく、多くの人が「七を積み上げた漢字」として記憶しているのが理由です。
名前に強いインパクトがあるため、テレビのクイズや雑学でも取り上げられることが多く、比較的認知度が高い特殊漢字といえます。
「㐂」の成り立ちと意味
「㐂」は、現在一般的に使われている「喜」の旧字体にあたる文字です。
書き換えの歴史のなかで形が大きく変化しており、古くは甲骨文字から派生した「吉」のような形から発展していきました。
やがて「喜」の上部が三段構造になり、現在の『㐂』に近い形が確立したとされています。
意味としては「よろこぶ」「めでたい」「祝う」といった肯定的なイメージを持ち、特に古文書や歴史資料では頻繁に登場します。
見た目の華やかさもあり、気持ちの良い縁起の良い字として扱われてきました。
「喜」との関係性
実は『㐂』は「喜」という字の異体字(旧字体・別の形の漢字)として扱われています。
そのため、意味は基本的に「喜び」と同じで、使用される文脈もほぼ一致します。
明治以降、常用漢字が制定される過程で字体が簡略化され「喜」が標準として使われるようになりましたが、老舗のお店の屋号や伝統的な看板には今でも『㐂』を使う例があります。
また、名前に使うケースもあり、独自性を出したいときに選ばれることがあります。
現代では一般的ではないものの、歴史的な背景をもつ大切な文字です。
日常で使われるシーン
現代の日常生活ではあまり見かけない『㐂』ですが、老舗の和菓子屋や料亭、呉服店など、伝統を重んじるお店の屋号として使われることがあります。
「㐂寿司」「㐂楽堂」など、特別感や格式を表したい場面で用いられることが多いです。
また、祝い事や記念品、のし紙、店のロゴなどで「喜び」を象徴する文字として採用されるケースもあります。
さらにデザイン性の高さから、筆文字やロゴ制作の世界でも人気があります。
現代では実用性よりもイメージ重視で使われる特殊文字といった位置付けです。
Unicodeでの正式な扱い
『㐂』はUnicodeに正式登録されており、コードポイントは **U+3402** です。
これは「CJK統合漢字拡張A」というカテゴリに含まれており、通常の漢字よりもやや特殊な扱いとなっています。
そのため、一部のフォントでは表示できなかったり、環境によっては四角い豆腐のような「文字化け」として見えてしまうことがあります。
Unicodeに登録されていることでデジタル上では共通ルールとして扱われますが、対応しているフォントを使わないと表示できないという課題があります。
この点が後述の「入力しにくい理由」にもつながっています。
『㐂』が入力しにくい理由
一般的な日本語IMEで出ない理由
多くの人が使う日本語入力(IME)では、「き」「よろこぶ」と入力しても『㐂』は候補に表示されません。
これはIMEの辞書に登録されていないためで、通常の「喜」が標準として扱われることが理由です。
IMEは日常で使われる頻度の高い文字を優先して収録するため、使用頻度の低い異体字は除外されがちです。
その結果、ユーザーが普通に読み仮名を打っても変換できず、「特殊文字扱い」になってしまいます。
また、辞書更新で追加されることもほぼなく、今後も変換候補に登場する可能性は高くありません。
JIS規格との関係
日本の文字コード規格であるJISコードには、長い間『㐂』が含まれていませんでした。
JISは日本国内で使われる漢字の範囲をまとめた規格ですが、収録される文字には限りがあり、一般的に使用される漢字や記号が優先されます。
この結果、『㐂』のように歴史的には存在するものの現代では使用頻度の低い漢字は除外されてしまいます。
JISに含まれていないと、フォント側も対応を後回しにしがちで、表示できる環境が限定されてしまうという問題が発生します。
フォントによって表示されない問題
『㐂』はUnicodeに登録されていても、フォントが対応していなければ表示されません。
WindowsやMacの標準フォントでも、実は対応しているものと対応していないものがあります。
もし対応していないフォントを使用している場合、『㐂』が四角い「□」として表示される、いわゆる文字化けが起こります。
印刷物やPDFでもフォントが合っていないと文字化けするため、環境ごとに注意する必要があります。
記号扱いされるケース
一部のソフトやシステムでは、『㐂』が「漢字」ではなく「記号」や「外字」として扱われることがあります。
この場合、通常の文書入力やテキスト編集では動作が不安定になったり、コピー&ペーストがうまくいかなかったりすることがあります。
特に古いソフトでは表示されないことが多く、文字を扱うだけでトラブルが起きることも少なくありません。
これが入力のハードルをさらに高くしています。
スマホとPCで入力環境が違う理由
スマホとPCでは搭載されているIMEやフォント構成が異なるため、『㐂』が使えるかどうかが変わります。
たとえばiPhoneでは標準フォントの範囲が広いため表示は容易ですが、入力はやはり変換では出ません。
Androidは機種ごとにフォントが異なるため、表示できるかどうかすら変わる場合があります。
PCとスマホで「表示はできるが入力できない」「表示すらできない」といったバラつきがあるのはこのためです。
まとめ
『㐂』は「喜」の異体字として歴史的に重要な文字ですが、現代のIMEやフォントでは扱いが難しく、簡単に変換できないのが大きな特徴です。
入力にはUnicodeを使う、コピー&ペーストをする、辞書登録を活用するといった工夫が必要になります。
PCとスマホで環境が異なるため、使う場面に応じて最適な方法を覚えておくと便利です。
特に辞書登録は一度設定すればいつでも呼び出せるため、特殊文字を扱う人にはおすすめの方法です。
『㐂』は見た目にも縁起が良く、屋号やお祝いの表現として非常に魅力的なので、正しく入力できるようにしておくと幅広く活用できます。

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